譲渡税の趣旨には資産が移った場合に、その資産の潜在的な値上がり益に課税するということをいいます。しかし強制換価手続などによって資産を移動する場合には、たとえその不動産所有者の全財産をもってしても債務の全額を返済することができない状態が一般的といえます。よって、抵当権が実行されてしまい自宅を失うような場合には、資力を喪失して債務を弁済することがきわめて難しい場合にあてはまると考えることができるため非課税となります。この資力を喪失して債務を弁済することがきわめて難しい場合とは、具体的にいうと、抵当権の実行をされてしまった人の債務超過の状態が近い将来にわたっても、その資力の回復がきわめて期待できないと認められるものをいうので、その人の信用力や才能などで資金調達力がある場合にはこれにはあてはまりません。
また、資力を喪失して債務を弁済することがきわめて難しい場合の判定時期につきましては、その資産が移動する場合においておこなうこととなっているのでます。そのため資産の譲渡の場合に、債務超過の状態になくその後の事情によって債務超過になってしまったとしても、この非課税規定は適用されないことになります。反対に、譲渡の時は資力喪失と判断されて、その後偶然に資力を回復したとしてもこの非課税規定は適用されます。また、この資力を喪失して債務を弁済することがきわめて難しいものとなる場合には、非課税であるので確定申告をしなくてもよいということです。