原則的に税金は、金銭で納税することされていますが、相続税では一定の条件(金銭納付が困難なときなど)をもとにして、物納制度が認められています。そのときには原則的に、納付するべき相続税額を超えてしまう価額の財産による物納は認められていませんので、分割できる財産(土地など)があれば分割をして物納することになります。ただし、物納にあてる財産の性質や形状などにより分割をすることが困難であるなどやむを得ない事情があるとされるときは、超過物納が認められます。そのときは物納による財産の収納価額と納付すべき相続税額との差額は、過誤納金として金銭で還付されることになっています。
また、相続財産を物納の許可を受け物納したときは、その財産の譲渡はなかったものとみなされてしまいます。そのため譲渡所得税は課さることはありませんが、物納の許可はその許可をうけた相続税額に応じる部分に限定されてしまい、超過物納があったときに過誤納金として還付される金銭は、物納による譲渡所得の非課税の特例の適用をうけるこができません。そのため超過物納により発生する金銭は、譲渡所得税の課税の対象になってしまいます。
土地を物納財産とする超過物納は、国などへの土地の譲渡に当てはまります。そのため土地の超過物納によって還付される金銭にかかる譲渡所得税の課税におきては、優良住宅地等のための譲渡の軽減税率の特例や、短期譲渡所得の軽減税率の特例が適用されることになり、相続税の申告期限から3年以内の物納のときには相続税額の取得費加算の特例が適用されます。