債務者の保証人となった人が、その保証債務を履行するために資産を譲渡したときに、その債務を履行することにより得た求償権の行使ができないとなったときには、その譲渡のうち一定金額については譲渡がなかったものとしてみなされます。また、保証債務を履行するために資産を譲渡して、その求償権の全部または一部を行使することができなくなったときには、下記のどれかの金額の中で一番小さい金額の譲渡が、なかったものとなります。
(1)求償権の行使不能額
(2)求償権の行使が不可能になった際の直前における総所得金額、株式等にかかる譲渡所得等の金額、上場株式等にかかる配当所得の金額、土地等にかかる事業所得等の金額、先物取引にかかる雑所得等の金額、退職所得金額および山林所得金額の合計額
(3)求償権の行使不能額にかかる上記(2)にある金額の計算の基礎とされる譲渡所得の金額
保証債務の履行の特例は当初、主たる債務者に弁済能力がないことを知っていながらも連帯保証をしたときには適用がなされないため、借り換えたときにその弁済能力の判定時期が当初なのか借り換えた時点なのかの判断が難しい場合があります。これに対してさいたま地裁平成16年4月14日判決は、債務者が違い新しく抵当権を設定したときであってもこの特例を認容しているため、当初の契約時に求償権の行使ができると認識可能なときにはこの特例の適用がなされることがわかりました。